今月のおすすめ　

書名／35年目のラブレター
著者／小倉 孝保
出版社／講談社

　西原さんは戦時下、極貧だったため学校に弁当を持って行けず汚れた古着で登校するといじめられ、通学をあきらめ文字を知らないまま大人になった。
結婚してある時、自分の名前さえ書けないことが妻に露呈するが、別れることを覚悟した西原さんに奥さんは言った。

「つらかったやろな。」
「大変やったと違うの？」
「何で打ち明けてくれへんかったの？」

これは実話です。
以来奥さんに感謝しながら生きてきた西原さんはその気持ちを伝えたいと64歳で夜間中学に入り文字を学び、結婚して35年目に奥さんに初めてラブレターを書きます。

ーーー僕について来てくれたことを感謝していますーーー

西原さんの子供時代の悲惨さや社会に出てからの苦労に胸が苦しくなりページをめくる手が何度も止まりそうになりましたが、読み終わった後、あたたかい幸せな気持ちで心が満たされていました。

（図書部　Y・I）